デュタステリドは、フィナステリドと同じ系統のAGA(男性型脱毛症)に有効な成分です。
AGA治療薬として様々なクリニックで広く利用されています。国内において厚生労働省が承認薬として認可しており、効果や安全性が認められている成分です。
しかし、どんなに安全といわれる医薬品にも、副作用やリスク、注意点はつきものです。デュタステリドの服用を検討している方に、事前に知っておいていただきたい情報を記事にしました。
この記事では、デュタステリドの働きや効果、副作用や注意点を詳細に解説します。
記事の最後には、読者からの様々な質問の中から、非常に多い質問に焦点をあてて回答しています。
最後までご覧ください。
\この記事はこんな人にオススメ/
- AGA治療薬についてどのような薬があるのか知らない人
- 薄毛を治すための治療薬について理解を深めたい人
- AGA治療薬の効果や副作用、注意点について知りたい人
- フィナステリドではなくデュタステリドを検討されている方
<参考にしている資料>
- 厚生労働省 厚生労働省ホームページ
- 日本皮膚科学会 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版
- KEGG MEDICUS KEGG NETWORK/DISEASE/DRUG データベース
※KEGG MEDICUS は、日本、米国、欧州の医薬品情報を化学構造と成分の観点から一元的に集約したデータベースです。
※KEGG MEDICUS は、医療現場においても利用できるサービスとして、2015年10月に東京理科大学薬学部の「宮城島 利一客員教授」が講演されています。
「デュタステリド」の働きと効果、作用について
AGA の治療薬であるデュタステリドは、どういう働きをするのですか?
デュタステリドの働きを説明する前に、AGAのメカニズムついて簡単に説明します。
AGAの原因として遺伝的要因もありますが、上記図を見てください。
男性ホルモンの「テストステロン」が、Ⅰ型 II 型 5α―還元酵素「5αリダクターゼ」の働きによりDHT(ジヒドロテストステロン)という悪玉脱毛ホルモンに変化されます。そのDHT「ジヒドテストステロン」が毛乳頭細胞を攻撃し通常のヘアサイクルの成長期を短くすることで、髪の毛が育たずに抜け落ちることが原因です。
3つの段階で簡単に解説
1段階:テストステロンが発生
2段階:テストステロンが DHT に変化
3段階:DHT が毛根縮小+脱毛の指示を出す
DHT(ジヒドロテストステロン)という悪玉脱毛ホルモンが抜け毛の原因。
では、デュタステリドとはどういう働きをするのか。
上記のポイントである2段階目に注目してください。男性ホルモンのテストステロンが酵素と結びついて悪玉ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)というものに変わる。この段階でデュタステリドは影響を与えます。
下の図は、テストステロン(男性ホルモン) と デュタステリド の分子構造です。左側が男性ホルモンのテストステロンの分子構造。 右側がデュタステリドの分子構造です。
すごく似てるんです。
そのため、テストステロンと結合するはずだった、「悪玉ホルモンを作る元になる酵素(Ⅰ型 II 型 5α―還元酵素「5αリダクターゼ)」が、間違えてデュタステリドと結合します。
デュタステリドと結合されてできた物質は、悪さをせずに体外へ排出されます。
こうして悪玉ホルモンを作り出す原因になる酵素がいなくなるため、悪玉ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)が作られなくなるということです。これがデュタステリドの働きです。
デュタステリドは国内承認を受けているAGA(男性型脱毛症)の治療薬です。
日本だけでなく、海外でも認可されていますよ。
※AGA治療薬の基礎を知りたい方はコチラから
デュタステリドの効果と作用
AGA治療薬のデュタステリドはAGAの進行を食い止める薬です。
デュタステリドは、ステロイド骨格を有するが、それ自体にステロイドとしての働きはありません。デュタステリドの薬理作用は、5α-還元酵素II型の働きを抑制し、結果的に頭皮において、テストステロンからDHTへの変換を抑制します。それによりDHTが減り、男性型脱毛が改善されます。
フィナステリドは全てのAGA患者に効果があるわけではありません。
AGAを引き起こす5αリダクターゼには「Ⅰ型」「Ⅱ型」の2種類があり、フィナステリドは「Ⅱ型」にのみ作用します。
そのため、頭部に5αリダクターゼⅠ型が多く存在する方にはフィナステリドの効果がみられず薄毛は改善されません。その場合は5αリダクターゼⅠ型に働きかける「ザガーロカプセル(デュタステリド)」を使用します。
デュタステリドの歴史
デュタステリドは、内服薬で飲み薬です。
もともとは前立腺肥大症や前立腺癌の治療薬として作られたものですが、その後の研究で「AGA の治療に役立つ」ことが分かって転用されました。
2001 年にアメリカで承認され、日本では 2009年に厚生労働省から認可されています。 そして現在では世界の 60 カ国以上で、AGA治療の主成分として各クリニックで処方されているのが、このデュタステリドという成分です。
現在ではジェネリック医薬品もたくさんの種類が販売されていま す。
デュタステリドの一般的な副作用
AGA治療薬にはいくつかの一般的な副作用が報告されています。その症状は個人差がありますが、以下がよく見られるものです。
<副作用とは>
薬を飲んだときに、本来の効果以外の作用が起こる場合があり、これを「副作用」といいます。副作用はたくさんの薬を飲むことの多い高齢者になるほど、多く現れます。
デュタステリドは、フィナステリド同様に男性ホルモンの「テストステロン」からDHT「ジヒドロテストステロン」への変換を抑制する効果を持ちます。しかし、フィナステリドがⅡ型5α還元酵素にのみ作用するのに比べ、デュタステリドはⅠ型、Ⅱ型5α還元酵素どちらにも作用します。
一般名 | デュタステリド |
---|---|
薬効分類名 | ・5α還元酵素1型/2型阻害薬 ・男性型脱毛症治療薬 |
効能または効果 | 男男性における男性型脱毛症の進行遅延 |
用法及び用量 | 男性成人には、通常、デュタステリドとして0.1mgを1日1回経口投与する。なお、必要に応じて0.5mgを1日1回経口投与する。 |
禁忌 | 次の患者には投与しないこと ・本剤の成分及び他の5α還元酵素阻害薬に対し過敏症の既往歴のある患者 ・女性 ・小児等 ・重度の肝機能障害のある患者 |
<副作用>
過敏症 | 発疹、蕁麻疹、アレルギー反応、そう痒症、限局性浮腫、血管性浮腫 |
---|---|
精神神経系 | 頭痛、抑うつ気分、浮動性めまい、味覚異常 |
生殖系及び 乳房障害 | 性機能不全(リビドー減退、勃起不全、射精障害) 乳房障害(女性化乳房、乳頭痛、乳房痛、乳房不快感) 精巣痛、精巣腫脹 |
皮膚 | 脱毛症(主に体毛脱落)、多毛症 |
消化器 | 腹部不快感、腹痛、下痢 |
その他 | 倦怠感、血中CK増加 |
重大な副作用 | 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明) AST、ALT、ビリルビンの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある |
※「KEGG MEDICUS」のデータベースから得た情報も含みます。
AGAにおけるデュタステリドの服用方法と期間
デュタステリドの服用方法
服用の回数 | 服用の量 | 服用する時間帯 |
---|---|---|
1日1回 | 1回1錠 | 決まった時間に内服 |
飲み忘れたからといって1日に2錠服用するのは避けましょう。
デュタステリドの服用期間
デュタステリドの効果は3ヶ月〜6ヶ月ほどで実感できることが多いようです。
また、デュタステリドの効果はフィナステリドと同様で、非常に緩やかに効果が出てくる治療薬です。副作用による一時的な抜け毛の増減に一喜一憂せず、長く継続することが大切です。
デュタステリドは、体の中で発生され続ける悪玉ホルモンを止める働きがあるため、もし服用をやめた場合、また悪玉ホルモンが生まれます。
「薄毛になってもいいか」と思う年齢まで、ずっと飲み続けなければいけません。
デュタステリドと他の薬との併用について
AGA治療薬には「抜け毛防止(守りの処方薬)」と「発毛促進(攻めの処方薬)」の2種類があります。
デュタステリドと他の薬との併用は、AGA治療の効果を高めるために行われ、主にミノキシジル内服薬と併用されます。
デュタステリドが配合された薄毛治療薬を飲むことによって、身体の中でテストステロンが「ジヒドロテストステロン」という脱毛ホ ルモンに変化することを防ぎます。「抜け毛防止(守りの処方薬)」
次に髪の毛の成長力を高める成分「発毛促進(攻めの処方薬)」。これには「ミノキシジル」という成分が必要です。ミノキシジルは、血管拡張による血行改善や発毛因子の産生を促進し、これら発毛因子が毛母細胞を刺激することで髪の毛の育成を促します。
ミノキシジルは外用薬として厚生労働省に承認されていますが、内服薬としては未承認の医薬品です。
治療薬2種類併用プラン(フィナステリド・ミノキシジル内服)の最安値をわかりやすい表で確認
Ⅰ型にも Ⅱ 型にも両方に効果がある成分なら「デュタステリド」の方がいいのでは?と思いましたが・・・
まずは、ある程度の安全性と効果が保証されていて、価格が安い「フィナステリド」を使うのがいいと思います。
そしてそれを継続して使ってみたけど「なんだか結果が出ないな」 「効果が現れないな」という場合に、デュタステリドに切り替える。
このやり方がオススメです。または遺伝子検査を検討するのもいいかもしれません。以下のTOMクリニックでは、最先端技術の「遺伝子検査」を実施しています。
「デュタステリド」と「サガーロ」 何が違うの?
デュタステリドとサガーロは、どちらも男性型脱毛症(AGA)の治療薬で、有効成分は同じ「デュタステリド」ですが、サガーロは先発医薬品、デュタステリドはジェネリック医薬品という違いがあります。
サガーロ | デュタステリド | |
---|---|---|
分類 | 先発医薬品 | ジェネリック医薬品 |
主成分 | デュタステリド | デュタステリド |
製造販売元 | 米国のグラクソ・スミスクライン社 | 厚生労働省の承認を得た製薬会社 |
価格 | サガーロと病院・クリニックによって価格設定が自由に決められるため治療費が高額になる傾向にある | サガーロに比べて治療費が安くなる傾向にある |
※AGA治療薬は保険適用外の「自由診療」です。
サガーロは、グラクソ・スミスクライン(GSK)が製造・販売しているデュタステリドを主成分とする先発医薬品のブランド名です。また、先発医薬品として日本国内での臨床試験を経て効果と安全性が確認されています。AGA治療薬として高い信頼性を持つため、処方される頻度が高いです。
デュタステリドは、サガーロの特許が切れた後に登場したジェネリック医薬品です。製造元によって品質に差がある場合がありますが、一般的にコストが低く、価格重視の患者に選ばれます。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)とは、先発医薬品と同一の有効成分を同一量含み、同一経路から投与する製剤で、効能・効果、用法・用量が原則的に同一であり、先発医薬品と同等の臨床効果・作用が得られる医薬品をいいます。
研究開発に要する費用が低く抑えられることから、先発医薬品に比べて薬価が安くなっています。
デュタステリドに関してよくある疑問
- デュタステリド 「だけ」 で治るのか?
-
悪玉ホルモンがデュタステリドによって省かれることにより「徐々にその人本来の毛根の太さに戻る」デュタステリドを飲めば、それだけでも薄毛は治ります。
ただ、その治り方がとてもゆっくりです。 そこで助けになるのがミノキシジルです。
- デュタステリドは飲み続ける必要があるの?
-
デュタステリドは、体の中で発生され続ける悪玉ホルモンを止める働きがあるため、止めた場合、また悪玉ホルモンが生まれます。そのため「薄毛になってもいいか」って思う年齢まで、ずっと飲み続けなければいけません。
- フィナステリド or デュタステリドどっちがいいの?
-
このサイトでは基本的にデュタステリドよりもフィナステリドを推奨しています。
理由は二つあります。
・1つ目の理由は、価格が高いことです。フィナステリドと比較してかなり価格が高い。
・2つ目の理由は、デュタステリドは運用期間が約5年と短いため、運用期間が15年以上のフィナステリドの方が安心。 薄毛40代パパまずは、ある程度の安全性と効果が保証されていて、価格が安い「フィナステリド」を使うのがいいと思います。
そしてそれを継続して使ってみたけど「なんだか結果が出ないな」 「効果が現れないな」という場合に、デュタステリドに切り替える。
このやり方がオススメです。 - デュタステリドを飲むと健康診断に影響は出るの?
-
AGA治療の薬は「肝臓機能」「腎臓機能」に副作用があらわれる等の情報がああります。
また、デュタステリド服用中は、前立腺ガンの指標である PSA 値が低下することがあるそうです。そのため、がん検診の場合は医師に服用をお伝えることが良いでしょう。
まとめ|デュタステリドは厚生労働省に安全が認められた国内承認薬
デュタステリドの安全性は高く、日本では前立腺肥大症治療薬として2009年に厚生労働省の認可を受けています。よって、副作用が発生した場合には、医薬品副作用被害救済制度が利用できます。
米国では、2001年に前立腺肥大症の医薬品として認可されています。また、2016年にAGA治療としてグラクソスミス社から認可され開発されました。
日本皮膚科学会によると、日本人男性を対象とした試験で、デュタステリド(0.5mg/日)を約1年間継続して服用したところ、症例で効果が得られたと報告されています。
デュタステリドはAGA治療において有効な選択肢の一つですが、その使用には個人差があり、副作用のリスクも存在します。そのため、適切な使用方法を守り、定期的に医師の診察を受けることが大切です。
「守りの処方薬」のフィナステリド、デュタステリドは、厚生労働省の承認を得ています。しかし、「攻めの処方薬」のミノキシジル内服薬は、日本では未承認薬です。
- 参考元:フィナステリド ○新医薬品等の再審査結果 平成27年度(その2)について
- 参考元:デュタステリド ○新医薬品等の再審査結果 平成30年度(その6)について
- 参考元:未承認薬ミノキシジル 「厚生労働省事務連絡」